靴クリーム-どれが一番いいのか?比較してみました。

靴クリーム-どれが一番いいのか?比較してみました。

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革メンテナンスの世界は奥が深いです。各メーカー良い事ばかりでどれが本当に良いのか判断に迷います。まさに沼の世界です。なんとなく使っているクリームもこの成分が含まれているから良い筈だというプラセボもあるかもしれません。信じる者は救われる、革の宗教。そこから抜け出したいです。

比較対象

とりあえず持っているシューケア用品の中でも無色やカラーレスタイプを7つピックアップして見ました。乳化タイプ、油性タイプの特性は体感ではわかっているつもりでも同時に比較、検証したことはありません。自分の持ち物を把握し絞って行く為にもこの機会にまとめてみたいと思います。
※オイルやワックスタイプはまた別の機会にまとめて見たいと思います。

1.M.MOWBRAY デリケートクリーム

主成分が水分で乳化されたラノリンが含まれています。油分が少ないので文字通り明るい色の革などデリケートな素材にも使える化粧水のようなクリームです。ただこれだけでは油分の補給には物足りないかもしれませんが、何度もリピート購入している基本としているクリームです。

2.M.MOWBRAY シュークリームジャー

乳化性クリームでオーソドックスなタイプ。M.MOWBRAY シュークリームジャー。10数年前はメルトニアン という名前で販売されておりその後M.MOWBRAY が引き継ぎ名称が変わったと記憶しています。日本のシューズケアメーカーです。

主成分:ロウ、油脂、有機溶剤

3.Saphir サフィール ビーズワックスファインクリーム

こちらも乳化性クリーム。フランスのメーカーですが国内でも取扱店舗も多く入手性は良いです。独特の匂いがありますが好き嫌いが別れそうです。

原材料:ビーズワックス、アーモンドオイル

4.Collonil コロニル 1909 シュプリームクリームデラックス

これも評判が良いクリーム。ドイツのメーカー。どちらかというとデリケートクリームに近いと思います。フッ化炭素樹脂の配合についてマイナスイメージをもたれる方もいらっしゃいますが革へのダメージは少なくとも自分の靴には感じたことはありません。普段はデリケートクリーム+油性クリームでメンテナンスしていますが面倒な時にはこれ一つで済ませる為各色揃えています。

【成分】 シーダーウッドオイル ラノリン フッ化炭素樹脂 ※有機溶剤不使用

5.SaphirNoir サフィールノワール クレム1925

油性クリーム 水を一切使用しない油性のため、乳化性クリームとの触り心地は全く違います。有機溶剤の独特の揮発性の臭いがあります。

成分:みつろう カルナバワックス シアバター テレピン油など

6.ENGLISH GUILD イングリッシュギルド ビーズリッチクリーム

R&Dが企画製造しているのか、本当に海外にあるメーカーでその製品の代理店なのか定かではありませんが英国で生産されている乳化性クリームです。油性っぽい感じはしますが水分も含まれており独特の使用感です。

成分:ナチュラルワックス、合成ワックス、油、染料、香料、水

7.M.MOWBRAY アリニンクリーム

昔アリニン仕上げの財布を使用していた為、購入したアリニンレザー用クリーム。シミになりやすい革などにも使えると謳われておりデリケートな革製品向けの艶出し乳化性クリーム。かなり昔に購入したので水分が飛んで粘度が高くなっています。

成分:ろう、ワックス、アルコール、香料、乳化剤、シリコン、水、有機溶剤

比較用に用意した革

ヌメ革

9マス区切っています。それぞれのマスに各クリームを塗り込んで行きます。

1.M.MOWBRAY デリケートクリーム2.M.MOWBRAY シュークリームジャー3.Saphir サフィール ビーズワックスファインクリーム
4.Collonil コロニル 1909 シュプリームクリームデラックス5.SaphirNoir サフィールノワール クレム19256.ENGLISH GUILD イングリッシュギルド ビーズリッチクリーム
7.M.MOWBRAY アリニンクリーム8.なし9.なし

使い込んでる革を想定して一度水通ししたヌメ革

一度濡らして軽く揉んだ状態です。内部の鞣しの成分か脂が出てきたのでしょうか。色が濃くなっています。元々は上の革と同じものです。

それぞれマスの上部のみにデリケートクリームを塗ってみます。

水かのようにどんどん染み込んで行きます。

乾燥させます。

乾いた後、それぞれのマス、1枚目の革 2枚目の革とも大きな変化はみられません。
流石、繊細な素材でも跡が残りにくいデリケートクリーム。本当に効果があるのか疑わしくもありますが、裏側にも浸透しているので少なくとも水分補給になっている事は間違いありません。

1マス目にM.MOWBRAY デリケートクリームを

効果、差を見る為に普段よりも多めに使用します。デリケートクリームは特に乾燥した革には水のように染み込んでいきます。

2マス目にM.MOWBRAY シュークリームジャーを

伸びも良く扱いが楽なクリームです。すぐに乾きますし光沢も出やすいと思います。安いのでそれなりと思われがちですが十分良い靴クリームだと思います。

3マス目にSaphir サフィール ビーズワックスファインクリームを

M.MOWBRAY シュークリームジャーと似ていますが粘度や伸ばした感じは少し違います。こちらの方がワックス分が多いからでしょうか。こちらも扱いは楽だと思います。臭いが独特。最初は苦手でしたが結構好きな匂いになりました。価格も手頃なので各色揃えています。

4マス目にCollonil コロニル 1909 シュプリームクリームデラックスを

プルンプルンの感触。なぜか懐かしさを感じます。あっ、フルーチェのような感じなのか!デリケートクリームにプラスアルファの成分を加え濃度が濃くなった感じです。塗り込むとサラサラした触り心地になります。

5マス目にSaphirNoir サフィールノワール クレム1925を

白濁した乳白色の独特のテクスチャ。塗り込むのも油性ならではの感触、浸透している事が感じられます。本来なら少ない量で済むのですが今回は比較する為多めに塗っています。

6マス目にENGLISH GUILD イングリッシュギルド ビーズリッチクリームを

好き嫌いが分かれる臭い。ワックス分が多いからでしょうか、多めに乗せると塗りこむのが大変になります。少なめでも十分艶出し効果は発揮されます。

7マス目にM.MOWBRAY アリニンクリームを

財布のメンテナンスの頃から思っていたのですが多めに塗ると引っかかる感じがします。デリケートクリームの後にアリニンクリームで艶出しのように扱われていますがデリケート素材の艶出しに向いているようです。

塗った後の様子 拭き取りはまだしていません

多めに塗って浸透しきれなかったクリームが表面に残っています。
5,6,7は乾燥したクリーム、主にワックス成分のみ残っている感じです。
4については多く塗っているので乳化剤の成分でしょうか、うっすら白くなっています。

指でさらに塗り込みます。人肌で暖められたワックス分が伸び艶が出てきました。

ネル生地で軽く磨いてみました。

5,6はかなり艶が出ます。7は少し拭き取り難い印象。1の拭き取りは不要ですね。2,3も拭き取りは楽でした。
艶では5,6が優秀 次に3,4 2,7という感じでしょうか デリケートクリームは艶とは無縁です。

水滴を垂らしてみます。

やはり予想通りフッ化炭素樹脂を含むCollonil コロニル 1909 シュプリームクリームデラックスが一番水を弾きます。アリニンクリームについては拭き取りが甘かったからワックス分が残り水滴を弾いています。時間が経つとどれも徐々に染み込んでいきます。

水滴を拭いてみます。

5と6については水滴が付いていた部分のワックスがふやけたのか跡が顕著です。2,3は意外にもそれほど目立ちません。7についても水滴がついた部分と付いてない部分の差が大きいです。

結論

乳化性を一つ選ぶなら

乳化性といってもかなり油分が少ないデリケートクリームを選ぶと思います。靴に限らずベルトや鞄、ライニングのケアにも使えます。コロニル 1909 でも良いのかもしれませんが多く塗りすぎると乳化成分が白く残る傾向があるようです。(薄く塗れば済むことですが)デリケートクリームについては濃度自体が薄い事もありますが塗りすぎて問題になる事はほとんどありません。

油性なら

デリケートクリームで水分を補給してクレム1925で油分を補給するメンテナンスがベストと感じます。艶出しについても申し分ない効果を発揮します。トゥの部分などの保護目的のコーティングとしてのワックスなら専用品を使います。

もし一つだけに絞るなら

革のコンディションは水分と油分のバランスです。普段履いている靴については足から発散される汗で水分が補われています。所有している靴の数が増えるとどうしてもローテションから外れて乾燥しやすいコンディションとなってしまうので、油分だけではなく水分も補ってあげる必要があります。デリケートクリームと油性クリームを二種類を使うことで乾燥の度合いにより量を調整してあげる事ができます。ただ何かしらクリーム1つだけだと水分を多く補いたい場合、油分も多くなってしまうので拭き取りが少し面倒になります。
もし一つだけに絞らなければならないとしたら、Collonil コロニル 1909 シュプリームクリームデラックスを選ぶかM.MOWBRAY シュークリームジャーかSaphir サフィール ビーズワックスファインクリームを選ぶと思います。実際問題、靴の色により一つに絞るのは正直難しい気がします。

デリケートクリームを事前に塗るのは

各マス上半分をデリケートクリームを塗ってから各クリームを塗っています。見た目的な差異は特にありません。しかしながら水分を補給してから油分をおじないフタをするという理にかなったメンテナンス方法です。ローテ間隔が長い靴や長らく出番がなかった靴などにはデリケートクリームなどによる水分補給は欠かせないと思います。すぐに効果がなくても中長期的にはひび割れ防止、革の寿命に影響すると信じてデリケートクリームを使用しています。